男性ホルモンのテストステロンの注射

もう一度、勃起のことに戻ります。渋滞の時、いくらトレーニングしてみても、多くの男性は遅かれ早かれ、勃起の問題をかかえこむことになると思うんだがね。これにはほかにどんな原因があるのですか?
俺のの友人は55歳なんですが、何か月にもわたって主治医からホルモン錠剤の治療を受けました。しかし、いちばんよく効きそうなエロティックな手段を使っても、彼のペニスは少しも硬くなろうとはしなかったのです。
そこで、さらに専門医に数年間ホルモン注射を受けました。
とりわけ男性ホルモンのテストステロンの注射をね。こんな場合、ホルモンの錠剤や注射の治療というのは意味があるのでしょうか?
この質問にピタリの答えをする前に、まずはホルモンについて若干の説明をしておいたほうがいいと思います。
テストステロンが男性の性ホルモンであることは事実です。さて、テストステロンが発生する場所はどこかな。男性を非男性化しようとする場合は、去勢するじゃないのか。そのことを思い出せば誰でも想像がつくはずです。答えは睾丸です。
テストステロンの90%は睾丸、つまり精巣で製造されます。精子ができるところです。
睾丸はかなり剥き出しのままの状態で下がっています。この位置なら、それほど苦労せずに除去することができます。かつては、カストラート(去勢歌手)として将来を嘱望された少年が、子供のうちにこの手術をされたものです。
私の知っているかぎり、今日では、声楽の去勢歌手になるためにメスで手術されることはありません。しかし、現在、医学的に去勢された人間の数は、想像よりはるかに多いんだそうです。

ペニスの包茎手術は男に必要か

そこで私は、名人と呼ばれる割礼者はけっして亀頭の縁の下を除去しないことを確認しました。彼は小さな男児の包皮をちょっと引っ張ってはさんでとめ、鋭利なメスで余分な包皮を切断します。
デリケートな性感帯の感覚が損なわれることはまずありません。
もちろん割礼以後は、亀頭もその縁も包皮で保護されることはなくなります。露出した亀頭は、性的刺激を受けたときに分泌する液体も含めて、包茎の男性ほどは濡れなくなります。
一般的に言えば、感覚も多少は鈍くなるかもしれません。しかし、性交のときに勃起しないなどということはけっしてありえません。
たいていの場合、感覚が少し鈍くなるのだとすれば、早漏に悩む男性に包茎手術をするというのはどうでしょうか。いいアイデアといえないでしょうか?亀頭の感度が鈍くなれば、挿入している時間が長くなるんじゃないかと思います。
いや、まったくそうはならない。早漏という問題はそう単純ではないのです。そのテーマでは別の機会に設けることにしたいね。
あなたの質問に答えておけば、早漏の原因が包茎の感度過剰だけということはほとんどありえないと言っていいのです。
この問題を解決するために包茎手術を勧めたりすれば、いろいろな幻想をいだかせたうえに、手術後にたいへんな幻滅を味あわせることになってしまうでしょう。この忌まわしい早漏というやつはほかの方法で処置するべきもので、手術ななんて考えないほうがいいです。

亀頭の縁の包皮の切除

包茎手術で亀頭の先端の皮膚を多く除去しすぎると、つまり亀頭の端の1ミリぐらいのところまでとってしまうと、性感帯がそっくりなくなってしまう。この端の部分を除去すると、一連の知覚神経が切断されてしまいます。泌尿器科医や外科医が無知なためにこの箇所から皮膚を取りすぎてしまうことが残念ながら実によくあるのです。
包皮を全部除去する必要があるときでも、亀頭の縁の下の皮膚は、最低1センチは残しておかなければいけません。
切除しないで包茎手術をおこなうことは可能でしょうか。
もちろん可能です。包皮が狭まる包茎状態は、亀頭をおおっている包皮の末端が狭すぎて輪ができてしまう包皮論の時に起きます。
しかし、この輪が狭すぎるからというだけで、包皮全体を除去する必要はありません。簡単な技術があって、それを使えば、外来診療の処置だけで包皮論を拡大させることができます。
それなら包皮を切除しないですみます。この処置で、包皮の内面が亀頭に付着することがなくなり、亀頭を正常に保つことができます。
きわめて異常な場合、たとえば長く続く包皮変形には包皮論を実際に輪状に切って除去する必要があります。しかしこの場合でも、感覚の鋭敏な縁の部分は残しておかなければいけません。
幼児の時に宗教的な理由で割礼を施されてしまう何億人もの男性の場合はどうなんでしょうか。
幸運なことに、宗教的な割礼に何度も招待されたことがあります。

亀頭先端の感覚

ペニスを鍛えるトレーニング方法は他にもあります。この渋滞という最悪な事態を少しはましなものにしてくれます。他の運転者に対する攻撃的な気分をなだめてくれるし、たぶん空想も膨らむでしょう。それに、このトレーニングは家で私たちを待っている愛しき家族のためにもなります。
それは素敵なアイデアですね。まあ渋滞はそれほど長くない方がいいのですがね。そこで、今度は全く別の話題にしましょう。
包茎手術をすると、場合によってはペニスの感覚が鈍感になるのは本当かと思います。私自身はかなり徹底的な包茎手術を受けたが、鈍感になったとは思わないんです。本で読んだことがありますが、アメリカでは幼児あるいは青年期の包茎手術を受けた人たちで性的能力が衰えた、あるいは少なくともペニスの先端の感覚が鈍くなって性行為をする気が減退したと主張する人がかなりの数いて、自助組織を作っているそうです。
そういう苦情があるのは事実です。すでに言ったように、亀頭の下端はさわられるととくに敏感に反応する場所です。
中年になると、いきまないとおしっこが出にくい、夜中に何回もトイレに行きたくなって起きてしまう、など排尿にかかわる悩みを抱える人が増えてきます。その原因には、男性特有の臓器である前立腺がかかわっている場合が少なくありません。
前立腺は、膀胱のすぐ下、尿道のスタート地点付近に尿道を取り囲むように位置しています。
前立腺を貫通する尿道を前立腺部尿道といい、前立腺部尿道は前立腺の後ろ上方にある精嚢から出ている管とつながっています。
また前立腺の下にある外尿道括約筋という筋肉は尿がもれないように調整する働きを担っています。
このことから、前立腺は排尿に深くかかわっています。
体の正面から見ると、前立腺は陰茎の付け根の少し上にある骨のほぼ真後ろにあります。そして、前立腺の後ろ側は、便の通り道である直腸と接しています。つまり、前立腺は恥骨と直腸に前後を挟まれているような位置にあるわけです。
前立腺は、栗くらいの大きさで、重さはおおよそ15グラムほどという小さな臓器です。

尿道の圧迫感

若い時ほど尿道が強く圧迫されないので、排尿後も少量の残余物が尿道に貯まっています。それで排尿後にチャックを閉めたりボタンをかけたりしたあとに、この残余物が徐々に流れ出してきます。ある年齢に達した男性は誰でもそういうことを経験します。
何か処置はあるのでしょうか。
もちろん対策することはあります。
骨盤の筋肉群(骨盤底筋)を定期的に収縮させるトレーニングをやることです。緊張させてから弛緩させる。ちょうどバーベルを持ち上げることで上腕を鍛錬するようなものです。このトレーニングによって、筋肉はまた力を取り戻します。そして精液の放出もリズミカルにおこなわれるようになり、また、放尿後の滴もなくなります。
もう一つの方法は、いますぐにできるものです。放尿後、いつものようにペニスを振ることはやめて、手で軽く押して、陰嚢の後ろの尿路を空にすることをお勧めしたいのです。これで残尿が排出されて滴がでなくなります。
それはありがたいですね。
老年になって坐骨海綿体筋の力が衰えてくると、もっと深刻な問題が起こってくるのではないだろうか。
たいていの男性が一定の年齢に達すると、ペニスがそれほど硬くならずに、時にはあまりにも早く委縮してしまうことに気づくはずです。
つまり、硬直が急に衰えてしまうのです。この委縮は坐骨海綿体筋の衰弱が原因のことが多いのです。
この筋肉は、ペニスを硬くさせ、血液の逆流を防ぐ作用があります。
委縮の現象に気づいた男性に、この筋肉をトレーニングするようにアドバイスすることがめったにないのが不思議です。
そのトレーニングについて少し説明していきます。
勃起した時に、あるいは勃起しなくてもいいが、陰嚢の後ろをさわって、この筋肉が収縮するところを感じとればいいのです。
固くなるところがわかるから、その筋肉のありかもすぐわかります。鍛錬の仕方もわかるというわけです。
規則的にトレーニングすることを勧めたいですね。たとえば車が渋滞して、時間を無駄にしなければならなくなったとき、全員がこの筋肉トレーニングをしているところを想像したら愉快ですよ。男性も女性もね。

海綿体のポンプの働き

第二の筋肉グループはまったく別の機能をもちます。指で触ってわかるペニス内部の海綿体、大きな陰茎海綿体は、骨盤の下部の体内からもう少し伸びて内部海綿体になって続いていきます。
その箇所で、広げた二本の指かフォークのように分岐します。ここからさきの筋肉をクルーラと呼んでいます。
このクルーラに連結しているのが、筋肉の第二のグループで坐骨海綿体筋なのです。すなわちペニスの筋肉ポンプです。
完全な勃起、あるいは半分くらいの勃起の時は意識的に収縮させてみれば、これがまさにポンプであることがわかるはずです。陰嚢の後ろの筋肉の緊張がさわってわかるだけでなく、ペニスそのものの変化も確認できます。筋肉をぎゅっと押し出してみると、ペニスはさらに硬くなり、心もち上に向くはずです。
ペニスの筋肉ポンプは、ペニスの硬さが保たれてさえいれば重要な役割を果たします。それにこの筋肉は、フォーク状の海綿体のクルーラーに圧力をおよぼすだけではないのです。
ペニスの筋肉はほかの部分に連結している血管を強く閉じてしまうので、さらに多量の血管がペニスに貯まることになります。筋肉を間接的に収縮させることによって、男性はペニスを多かれ少なかれリズミカルに上下動させられるのです。
年をとると、精液の量と飛ぶ勢いが衰えるものですが、これにはさきほど申し上げた筋肉が関係しています。
この筋肉が収縮させる力の強さと関係があるのは事実です。老化すると筋肉グループも弱くなりますから筋肉グループに包まれている尿道の収縮力も弱くなっていきます。そのためには、とくに次の二つの現象が起こります。
まずは、収縮力の弱くなった筋肉グループによって、精液は、放射というより押し出されるという程度の強さになります。
第二に、男性は排尿の後にも滴がたれるというきわめて思いがけない問題に出会って混乱することがあります。
この現象は、尿道の周囲の海綿体だけではなくて、尿道そのものとも関わりがあります。

脊髄神経の相性

脊髄神経から二股になって方向が分かれ、一方の道は脊髄を通って脳へ、そしていくつかの中継点を通過してぼくらが大脳皮質と呼んでいるものに入っていきます。われわれの知覚をつかさどる脳の外側のあの場所です。
意識のなかで、ぼくらは、ペニスのいちばん敏感な部分がさらわれたと確認するのです。
この刺激を感じて、私たちにそれを意識させる脳の領域から別の神経を通って勃起のメカニズムを作動させ、それからその他の一連の筋肉にも影響をあたえる信号が発信させます。
しかし、第2の道もあります。この道は大脳までは届かず、途中の脊髄の一定の高さからペニスへと戻る経路です。
ここから、この信号は脊髄から離れ、相性のいい神経系を通じてペニス内の勃起のメカニズムに直接影響をあたえます。そして、またもや別種の神経系を通じて、海綿体の周囲の小筋肉が活動するように促すのです。亀頭を撫でられたりつままれたりすると、陰嚢の後ろの筋肉が収縮するような感じがする原因がそうなのです。
亀頭からの直接の反応が、海綿体の周辺の筋肉でこれは私たちが直接影響をあたえることのできる筋肉(随意筋)ですが、こんな現象が完璧に行われているのです。
ついでにいうと、これは病院でペニス内で神経系の制御が行われているかどうかを調べるテストの基本にもなっています。
亀頭にちょっとした信号を、たとえば電気刺激をあたえてみると、これらの随意筋が収縮するしかないかが確認できます。
骨盤の下にある、その筋肉組織はどんな機能を果たしているのでしょうか。
二つのまったく異なる機能がとても重要ですね。
これには二つの筋肉グループが関係します。第一のグループは尿道を包んでいます。尿道は海綿体に包まれ、海綿体で亀頭とつながっていますが、尿道が前立腺を離れてペニスの末端に向かうあたりでは管はやや広がっていて、まさにちょうどそのあたりでは比較的硬い筋肉である球海綿体筋に包まれています。
この筋肉がどんな作用をするか気になるところです。その重要な機能は、精液放出が迫ってもう引き返せない状態になったとき、間欠的に収縮して精液を押し出すことなのです。

平滑筋の役割

勃起のメカニズムの簡単な説明をしておきました。その際にさまざまな障害が起こることがあります。たとえば、海綿体内のメカニズムそのものの機能がしだいに衰えていくことがあります。空洞のスペースが拡張せず、海綿体の筋肉が弛緩しなかったりというような、要するに、勃起のメカニズムが作動しないことがあります。
そうなる原因はいろいろありますが、それをこれからもっと詳しく説明していきます。
男性は、この点については、自分ではどうしようもできません。脳からの命令で緊張したり弛緩したりできる関節の筋肉とはちがって、海綿体の筋肉にはほとんど命令ができません。
胃や腸にあるものも同じで、平滑筋だからです。
こういう筋肉は、脳によってはきわめて限定された範囲でしか操作も制御もされません。つまり男性は自分のペニスに勃起のメカニズムを始動させろと簡単に命令できません。
反対に、意思に反して勃起してしまったペニスに委縮しろと強精もできません。
ありとあらゆるトリックを駆使すればひょっとしたら、不可能ではないかもしれませんが、メカニズムに直接影響を与えることは不可能です。
メカニズムは神経の末端で操作されますが、末端の神経にわれわれが直接影響を与えることはできないし、ましてや制御などとても無理な自律神経系に組み込まれています。
僕はまじめに自分を試験台にして試してみた結果、ぼくのペニスは亀頭の基底部がもっとも感覚が敏感だということを確認できたと思うんだけどね。それも、その両側と亀頭の端の下側がとくに敏感です。
それは私のだけの特殊現象でしょうか。
そんなわけはないですね。ペニスにはいたるところに敏感な神経があります。その基底部や、皮膚が亀頭とつながっている裏側は、特に敏感な部分といえます。陰茎の残りの部分はごく普通の神経の分布状態で身体のほかの皮膚表面と変わりはありません。
この神経はどんな風に機能するのでしょうか?
神経はペニスの上面とつながっていて、脊髄神経に入っています。